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PSO2ライフでのできごとや、想いを綴る場所。
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非公開
自己紹介:
ship:3(ソーン)
ID=雛櫻
キャラ名:十六夜・蓮華
所属チーム:IRIS-イーリス-
メインクラス:ガンナー
一言:自己中です(*'ω'*)
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一人の少女が紡いだ、絆の物語。

vol.1:読みに行く
vol.2:読みに行く
vol.3:読みに行く
vol.4:ここ
ALL:まだ

勝手にイメージソング=『Our Fighting』:クーナ(喜多村英梨)

《今回の前書き》
予想以上にwave3のシーンが長くなったので、4~5と分けて単体で上げる結果に(´・ω・`)
いや、というよりも未だwave5が書き終わってないですし……。うん、モチベ維持モチベ維持。
そして、またも新しい登場人物(名無し)が。どう動くんだろうね、ホントに(’’;
あ、ちなみに人物紹介の欄は完結後にまた掲載する予定です。……予定です(大事

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 幽かに残留するチャックへの執着心に打ち勝ったイーリスの眼が捉えたのは、絶望。
「全方位、同時攻撃くるぞ! 各拠点、ふんばれ!!」
 声を上げたのは、中央で活動するギル。統率よりも鼓舞を思わせるソレに、何名かが呼応する。
 だが、イーリスはできなかった。
 視界に広がる、砂塵を巻き上げながら迫りくるダーカーの群れ。何かの意志を持つかのように一つに成った群れ。彼女は、その光景に恐怖した。
 躰は元より、心までが既に屈しようとしている。イーリスの躰が震えているのは、押し寄せる群れがつくる振動からか、それとも恐怖故か。現在の彼女自身には、決して得られない解。
 作戦面に於けるイーリスの最大の弱点である、経験の不足。ソレは、微塵の容赦も無く急所を射抜いた。
「イーリス、急ぎ塔まで下がりバリアの展開を!」
 そんなイーリスに気付いているのかいないのか。一度も振り向いていない事から判断するに、恐らくは後者。
 その声に過敏な反応を示した彼女が視たのは、ギルの双小剣よりも鮮やかな赤を放ち、所有者を焼こうとでもいうかのように立ち上がる炎を纏う大剣を携えた、イカロスの姿。形は違えど、自分と同じ武器を持つ眼前の鳥の姿に、彼女は眼を奪われる。
「ーーむん!」
 刹那、その視界に映った光景に、彼女は更に魅了された。
 炎を纏っていた剣がフォトンと融合し、一回りは大きな炎と成って立ち上がる。直後、イカロスは一片の躊躇も無く群れへと向かっていく。そして、その燃え盛る巨大な剣を優雅に振るってみせた。
 フォトンを具現化した剣。そこから放った技は、確かにイーリスが先程ゴルドラーダに向かって放った技と同じだった。違うのはーー威力。
 左右に二つ。そして、縦に一つ。過程は全く同じであるのに、結果はまるで違う。イカロスが剣を振るった先には、巻き上がる炎の中で動くものの姿は無かった。
「~~~~わ、私は……」
 イカロスの剣閃の中には、ゴルドラーダも確かに身を置いていた。だが、ソレさえも見事に倒してみせた。何よりも、その容姿故に判断が難しいが、疲弊の様子が見られない。明らかに、イーリスとは熟練が違う。
 恐怖。葛藤。そして、時間を経る度に思い知らされる己の未熟さ。自身がこの場に居るという存在意義さえも疑うだけの、自信の喪失。
「何をしている!? イーリス、早く塔へ向かえ!」
 彼女の心は、完全に屈しようとしていた。ソレでも容赦なく彼女を動かそうとする声。声の主はイカロス。
 初対面な上にその容姿故に正体も不明。にも拘らず、現状の自分の心境を考慮しようとはしない無慈悲な言葉を放つ。そんなイカロスに理不尽な怒りを抱き、イーリスは感情に身を預けるまま、イカロスを睨み付けた。
「ーーっ!?」
 その濁った視界で彼女が捉えたのは、尚も剣を振り戦うイカロスの姿。消えゆく炎と砂塵を振り払い、ダーカーの群れは勢いを一向に衰えずに向かってきている。
 討ち漏らしたのではない。技の範囲内に居たダーカーは、確かに全て滅した。現在イーリスが捉え、イカロスが応戦しているのは、新手……いや。正確には、技に巻き込まれなかった者達。
 イーリスの眼が、僅かに晴れた。
 彼女とイカロスの実力の差は、最早明らかなものだ。だが、そのイカロスがあの数相手には対応し切れないのが現実。恐らくは、直ぐにでもイカロスの隙を縫って群れは抜けてくる。その状況下で、イカロスはイーリスを拠点へと促した。ソレも、二度。
 ーーパンッ。
 透き通った音が、一瞬鳴り響いた。戦闘で上がり続ける騒音に紛れて掻き消えたソレを聞いたのは、一人だけだ。
 音の正体は、イーリスが自らの両頬を叩いたもの。その音が止むと同時に、彼女は拠点へと駆け出していた。
 イカロスの言葉に従う為だ。
 真意は判らない。けれど、イーリスはその言葉を、自分にできる事があるのだと判断した。ソレが、この状況に対抗できるものであると、賭けた。
 途中、横目で前線へと眼をやると、イカロスと、先程の銃剣を扱う青年が群れに対抗している姿を捉えた。同時に、その合間を縫って抜け出してくるダーカーの姿も。
 地を蹴る脚に、イーリスは更に力を込めた。実際にソレが反映されたかは定かではないが、意志が強まったのは確かだ。
 このままでは、ダーカーが拠点に到達するのは確実。だからこそ、イカロスの言葉に希望を託す。
「ーーえっ!?」
 視線を戻し、拠点間近へと迫ったイーリスの眼が、新たな凶兆を捉えた。
 ソレは、まるで空間を捻じ曲げて転移してきたかのように、文字通り突然現れた。ディカーダと、そのディカーダよりも一回りは大きく、両手が鋭利な鎌状になっている個体の群れ。
 数は五体。数だけで判断すれば、対応できるかもしれない。だが、イーリスには視界の敵との戦闘経験が無い。殲滅できるかどうかに賭けるには、余りにも不確定で分が悪い。加え、その間に前線から抜き出た他のダーカーも到達してしまうだろう。
 無難な策は、眼前の五体の合間を抜けて一目散に拠点のコンソール端末へと駆ける事。
 無論、コレも立派な賭けだ。拠点を最優先目標にするという解釈は現状、あくまでもイーリスの独断にすぎない。距離が詰まり切った瞬間、その鎌と爪が彼女に向けられないという保証は、何処にも無い。
 余りにも高いリスク。しかし、ソレを乗り切るだけの結果が得られるのだと、イーリスは確信していた。
 イカロスの言葉を何度か思い返す過程で、移動シップの中で目を通した、作戦マニュアルの或る項目を思い出したのだ。
 ーー各拠点の支援兵装。
 確かに、その記述が在った。詳細までは眼を通す時間は無かったが、イカロスが口にした“バリア”がその支援兵装というならば、イカロスでさえソレを頼るだけの効果が在るという事だ。
 考えている時間も無い。抜けてきたダーカーも、既に直前まで迫ってきている。勢いづいて沸き上がる恐怖を抱えつつ、イーリスは意を決した。
 自らの双腕が傷付く事に微塵も臆する素振りも見えず、そもそもその心配すら無いのか。拠点を只管に攻撃し続ける刺客の中へ、彼女は飛び込む。
 あと数歩。コンソール端末を完全に眼が捉えた正にその時。
「いけるーーえ?」
 背負っていたリスクが、イーリスを襲った。
 拠点に振るわれていた鎌の一つが、矛先を変えたのだ。脇目からソレを捉えた彼女に、現状の勢いに乗ったままで避ける術は無い。
 イーリスは反射的に眼を閉じた。
「ーーだらぁ!!」
 覚悟さえ決める間も無い、絶体絶命の窮地。ソレを、乱暴な一声が振り払った。
 眼を開けたイーリスが視たのは、桃色の花が儚くも映えるように飾られた白装束の男が、いつの間にか横転したプレディカーダを足で抑え付けている光景。
 そしてそのまま、握っていた拳を地面ーープレディカーダに向けて振り下ろした。
「~~~~わっ! わっ!?」
 途端、その衝撃が周囲を伝い、一瞬だが確かにイーリスの躰が揺さぶられる。ソレは彼女だけでなく、拠点に取り巻いている他のダーカーの動きをも止めた。
「今の内にさっさとバリアを作動させろ」
 突然の事態で思わず放心したイーリスに、男が声を掛ける。
「…………」
「ーーおい!」
「ーーあ……は、はい!」
 一度目の声では反応を示さなかったイーリスに、間髪無く男は声を続けて上げてみせた。
「ったく……」
 片目を覆い隠すような長い前髪。開けたもう一方の眼は鋭く、苛立ちを浮かばせてイーリスを捉えている。
 尤も、悠長にしている暇が無いのは事実である。
 動きを止めたとはいえ、他のディカーダ等も直ぐに活動を再開するであろうし、何よりも前線からの後続までもが、既に目と鼻の先まで迫っていた。
 残された刹那の猶予で、イーリスはコンソール端末へアクセスを開始。ーーだが、ココで思わぬ問題に直面する。
「え、えと……?」
「ーー一番上のボタンだ」
 まるで現在の光景を読んでいたかのように、イーリスが困惑を見せた直後、男が促してみせた。
「は、はい」
 怒声にも近い声に従い、イーリスが端末を操作した途端。
 拠点の周囲が光の柱に包まれ、活動を再開したディカーダ等は勿論、拠点へと辿り着いた後続のダーカーがその柱に触れると、一瞬にしてソレ等を凍らせて、動きを封じた。
「す……凄い」
 予想以上の効果を眼にして、イーリスの顔が明るさを取り戻す。
 この機能が在れば、いかなる攻撃も防げるのではないか。彼女の胸に、そんな希望が生まれた。
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