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PSO2ライフでのできごとや、想いを綴る場所。
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ID=雛櫻
キャラ名:十六夜・蓮華
所属チーム:IRIS-イーリス-
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「ーーあなたは、誰?」
二人の少女が謳う、絆の物語。

勝手にイメージソング=『clover』:meg rock

前編:ここ
中編:読みに行く
ALL:まだ

《前書き》
いや、なんというか割と時間をおかずに次回作を書いちゃってます、すいません(´・ω・`)
なんか、書きたい衝動が物凄く強かったので、今の内に乘っておこうと想いまして。
よくあるネタをよくある内容で書き綴るだけのストーリーですが、楽しんで頂けたらと。
そもそも、前作が私にはスケール大き過ぎたんや!!

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「ーー模倣体?」
 歩調と傾げる首の動きに合わせて揺れる、青い尻尾を持つ少女が問う。その言葉の向き先には、同じく両サイドに赤い尻尾を靡かせる少女が居た。
 二人の歩みを阻む扉を前で、歩行の動きと合わせて壁に備えられた認証機に、赤髪の少女はカードキーを通す。途端、ロック状態を示した赤色に点灯していたランプが、まるで二人の髪色を真似るように、青色へと替わる。
 流れるような動きでカードキーを仕舞い、尚も歩みを続けながら背伸びをすると、赤髪の少女が声を発した。
「うん、なんでもダーカーがわたし達アークスのデータを基に造ったらしいよー」
「あ~。そういえばコフィーさんから注意連絡事項がきてたね」
「もう結構な被害も出てるみたい」
 開かれた扉の向こうに展開されるチームルームへと、二人は会話を続けながら足を踏み入れる。
 向かう先には、規模的に誇れたものではないが、小人数が座って談笑するのに充分なバーカウンターが在った。二人は自然体のままソコに腰掛けると、話を続けた。
 内容は、近日噂が広がり始めている模倣体についてだ。
 模倣体ーー先程の会話の中にでも出た、ダーカーが造り出したとされる、所謂クローン生命体だ。容姿、声は当然の事ながら、模倣元の衣服や武器までも完全に再現されているらしい。
 そして、その模倣体に因る被害報告が急速に増えてきているのだ。
 武器を再現している事から予想できるように、彼等はアークスに対し攻撃を仕掛けてくる。仮に任務中で遭遇した場合、自分達と同じアークスの姿恰好をしてーーだ。
 極め付けに厄介とされているのが、その性質。
 ベースとなるデータが在るからか個体差はあるが、その戦闘能力は強力で、非常に高い生命力を兼ね備えている。加え、至極好戦的。
 コレは恐らく、ダーカーが元来より見せる攻撃的かつ破壊的な性質からに因るものだろう。とはいえ、報告の中にはこちらも個体差が在るという、見落とせないものも上がっている。
 云ってみれば、元より好戦的な性質を持つ者が模倣体化された場合、より好戦的となっている。模倣元よりも更に高い基準の戦闘力を備えてだ。
 ソレはつまり、本人よりも強い可能性が在る事を意味する。
 模倣体に因る被害報告が減るどころか増えているのは、そういった単純な戦闘面に於いたものが絡んでいる。
「ーーでも最近、ちょっと違う報告も上がっててねー」
 両足を交互にバタつかせながら、赤髪の少女が紡ぐ。その声色と口調とは違い、表情は何処となく暗く沈んでいるようにも見える。
「ーープルちゃん?」
 プルーープルミエールの言葉を待っていたが、その様子がどこかおかしい事に気付き、青髪の少女が首を傾げる。
 数瞬の沈黙。ルームに流れるBGMが逆に、静寂である事を強調した。
「あーダメだ、上手く言えないや」
 やがて、プルミエールが自身でソレを振り払うように破る。その振る舞いに普段の彼女を見出してか、不安を抱いていた少女の表情にも、安堵が浮かぶ。
「ま、とにかくイーリスちゃんも気を付けてね。模倣体が造られる為の詳しい条件とかはまだ調べてる途中なんだけど、報告に上がってるアークスの殆どが、ダーカーの巣に乗り込んだ記録を持ってるんだよね」
「ダーカーの巣って……ああ、こないだ皆で参加した異常値を観測した宙域での作戦だよね?」
「そそ。わたしとイーリスちゃんは勿論だけど、ギルもユノもカイトも今のところ条件には当て嵌まってるからねー。ユノの模倣体なんて、想像しただけで逃げ出したいくらいだよ~」
「……怒られるよ?」
「じゃあ、オフレコで!」
 そんなイーリスを更に安心させる為か、少し言葉多目に、そして多少大袈裟な調子でプルミエールが紡いだ。
 詮索を打ち切った二人が、互いに眼を合わせて笑う。齢相応の少女が、そうし合うように。
「ーーあ、そうだ!」
 ふと、何かを思い出したのか手を一つ鳴らして、イーリスが席を立つ。その足が向かったのは、カウンターの向こう側。
 ソレを眼で追うプルミエールが問う。
「ーーどったの?」
 バーカウンターとはいえ、バーテンダーなどは居ない。よって、飲食する際は持参してくるか、カウンター奥のクーラーボックスに保管しておいた物を取り出すかになる。
 イーリスの目的は、そのクーラーボックス。
「えへへ。みんなで食べようと想って、ナウラのケーキ屋さんからケーキ買って冷やしてたんだ」
「……けー……き……?」
「うん、未だみんな任務中みたいだし、私達だけ先に食べちゃお」
 にこやかな表情を浮かべながら、イーリスがクーラーボックスの扉を開いた、その時だ。
『プルーーイーリスも一緒か』
 チームメンバー用のチャンネルに、通信が入った。
「ギル? そうだけど、クエスト中にどうしたの?」
 プルミエールがその通信に応える。
 ギルとユノ。そしてカイトは現在、アークス研修生のルベルトからの依頼で、惑星ナベリウスでの同行任務に当たっていた。三人の経験からすれば、総難易度の高いものではなく、事実そうであるからこそイーリスとプルミエールは別行動を取っているのだ。
 そんなギルから、尚任務中の筈のギルからの通信。疑心を抱かない方がおかしい。イーリスも、開け掛けたクーラーボックスを閉じると、カウンターに身を乗り出すようにプルミエールの交信に耳を向ける。
『いや、珍しいものを見つけたんだがな』
「珍しいものーー?」
『ーータガミカヅチだ』
「おおっ!」
 ギルの口から告げられた名前に、少女が二人顔を見合わせながら、同時に声を上げた。
 ーータガミカヅチ。ラッピーと同じく、生態の詳細が不明とされる超時空生命体である。銀色に輝く身体で、電撃を操る能力を有しているという事が、一般的には知られている。しかし、その目撃情報は非常に少なく、その遭遇率はラッピーとも比較にならないとさえ云われる程だ。
 所謂“レア”との対峙。アークスとして生業を立たせている者にとって、好奇心を仰ぐには充分過ぎる素材だ。
 そしてソレは、二人にとっても例外ではない。
「いくいく、すぐ行く!」
「まだ大丈夫なんですか?」
『ああ、今は逃げられないよう四人で見張ってるところだ』
 やや興奮気味に声を上げる少女二人に、通信越しでギルが応えていく。
『ーーこっちに着いたらポイントの詳細を報せるから、とりあえずなるべく早く来てくれ。いつまでもこの状態が続くとは言い切れんからな』
「はいはいー」
 いそいそとアイテムパックの整理を行いながら準備をする二人の様子は、まるでピクニックにでも出発する際の幼子のようにも見えて。齢相応に合わせた言い回しならば、二人で買い物にでも出掛けるかのような、そんなノリを想わせる。
「よし、準備おっけー」
「私もできたよー」
 興奮は治まるどころか、時間が経つにつれ更に高まっていく。目的が目的なだけに、或る意味では必然なのだろう。
 足早にチームルームを後にする二人を見送る者は居ない。けれど、そうなったルームに流れるBGMは、またも逆にソレを強調した。
 感情の籠った言葉(こえ)にしか表現できない証(なにか)。
 静寂を否定する役割を持つ筈のBGMは、二人が確かに居たのだという証となって、誰も居なくなったルームで、静かに流れ続けるーー。


* * *


 惑星ナベリウスの木々が成す、青々とした広大な森林。心地の良い陽射しにも照らされながら、ソレは続いていた。
 まるで、景色と不釣り合いな程に。
 その先端には、一人の少女が立っていた。小さな両手に、これもまた彼女の容姿とは少々不釣り合いな、樹の幹によって模された大剣を携えて。
「ーーイーリスちゃん、ここにいたんだ……って、何コレ?」
 ソコに、明るい声色が響く。
 背後から名前を呼ばれ振り返ったイーリスの眼に、良く識る赤髪の少女が映る。
「プルーーちゃん……」
 驚愕の声を上げたプルミエールの足下には、イーリスを追うかのように続く原生種の群れが並んでいた。数は軽く十を超えるが、何れも倒れたままピクリとも動かない。
 生命活動を維持している個体は、その列の中には居なかった。
「コレ……イーリスちゃんが?」
 プルミエールが当然の疑問を口にする。情景だけで判断するならば、答えすら決まっているようなものだ。
 ソレでも彼女がそうしたのは、一種の願いだったのだろうか。
「うん、なんだか今日はやけにみんな凶暴になってて。ダーカーの浸食核の影響もあったのか知れないけど、私もやらなきゃ危なかったから」
 なぞるような視線を原生種の群れ(れつ)を向けながら、イーリスが答える。その中には、確かに浸食核が植え付けられた個体も何体か見られる。
 アークスならば、対ダーカーに於いて常識となっているこの核。コレに寄生・浸食された生物は理性を失い、非常に獰猛となり、敵味方は勿論同じ種族ですらも見裂かないなく襲い掛かる。云わば、“ダーカー化”するのだ。
 しかも、この核に因る被害の最大の特徴はーー。
「そっか。じゃあ、仕方ないね……」
 プルミエールが、納得したように頷く。
 この核の最大の特徴。ソレは、現在のところ、浸食されたものを救う手立ては無いという事。正確には、核のみを取り除く事はできない。
 そうした意味では、イーリスの取った手段は防衛行動とはいえ、被害者への唯一の救いだという意見も在る。
「そういえば、どうしてココに?」
 何処か物憂げな表情で尚も群れを見詰めるプルミエールに、イーリスが問う。
 コレも、当然の疑問。
 一緒に行動していたのならまだしも、プルミエールは明らかに後を追って合流する形となった。互いの所在を確認する通信すらも無く、まるで突然現れたように。
「ーーへ? あ~。こっちの用事が終わったから、イーリスちゃんの手伝いしようと想って。迷惑……だった?」
 そんなイーリスの問いに、プルミエールが答える。
 眼を泳がせながらーーというよりも、眼を合わせる事を拒むように。
「……そうなんだ、ありがとう」
 プルミエールの様子が、自身が識るソレと明らかに違う事実を受け止めて、イーリスは逆にプルミエールから眼を放さないまま言葉を紡いだ。
 幽かに浮かべたその笑みと言葉に、プルミエールもつられて、か細く笑う。
「あっちの方に、標的が移動するのを見掛けたんだ。手伝ってくれる?」
「うん、まっかせてー」
 腰からサーペントの紋章が記された、愛用の長銃を構えて、プルミエールが揚揚と答える。
 プルミエールという少女は、決して鈍感なタイプではない。恐らくは、自身に向けられる幽かな疑心に気付いていたのだろう。ソレが払われたと認識したのか、その際の様子は普段の彼女と変わらないように見えた。
 そうして二人は、イーリスが指した方向へと進んでいく。
 道中では、原生種が二人に襲い掛かってきた。先程のイーリスの言葉通り、普段よりも攻撃的な個体が多い。まるで、“外敵”に対する完全な敵意と殺意を放ちながらだ。
 尤も、どの惑星の原生種からすれば、アークスもダーカーも自分達の領域を侵す侵略者である事に、そう差は無いのかもしれないがーー。


* * *


 少なくない交戦の果て、二人は目的地へと到着した。
 ソコは、森が造り出した小部屋のような庭園。木々の隙間を縫って射し込む木漏れ陽が、緑をより際立てる。
「そういえばイーリスちゃん。何を狙ってるの?」
 ふと、プルミエールが口を開く。
 そう、ココに至るまで、彼女はソレを知らせていなければ、聞く事もなかった。交戦時の掛け合いを除けば、会話と呼べるものが在ったかすらも怪しい。
 普段の二人からすれば、異常とも云える状態。
「その前に、私からも一つ訊いていい?」
「ーーへ? う、うん……?」
 前を歩いていたイーリスが歩みを止め、背を向けたままでプルミエールに応える。
 背中越しにイーリスが放つ何かに気付いたのか。プルミエールは歩みを止めたイーリスに対し、自身は二、三歩と後退った。
 ソレが合図だったのか、イーリスは振り向き様に紡いだ。
「ーーあなたは、誰?」
 刹那、木々が鳴いた。
 そうさせたのは風だけではなく、イーリスがフォトンを開放した事に依る大気の変動。
 剣を携え、構えてこそいないものの、その様子は完全なる臨戦態勢だった。尚も木々を薙ぐフォトンからは、明らかな薄暗い殺意を風が伝う。
 目の前のプルミエールに向けた、イーリスの異常な行動。
 ソレに呼応するかのように、木漏れ陽が影を帯びる。小部屋という木々が密集した条件下の中で、二人の周囲がみるみる曇っていく。
「~~~~い、イーリスちゃん、な……何言ってるの? ひょっとして、勝手にクーラーボックスのケーキ食べた事知って、怒ってるとか?」
 そんな場の空気に呑まれてか、プルミエールは動揺を露わにし、更に後退る。
 何を? いつから? 何故?
 廻る、単純な疑問。しかし、ソレは受け止められる事はなかった。
 イーリスに、プルミエールの言葉を聞く意が感じられなかったからだ。
「ーーっく……」
 そして何より、当のプルミエール自身がソレを破棄した。
「~~~~くくく……っはは、あはははははは!!」
 突如上がった笑い声。木々に反響し合うかのように、存在を強調する。
 その高笑いは尚も続く。
 腹を捩り、幼子のように感情を剥き出しにした、無邪気というよりも、素直な笑い。ココに至るまでの挙動を否定するかの如く、プルミエールは笑った。
 笑ってーーみせた。
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